井上尚弥VSノニト・ドネア 試合の感想

本日2019年11月7日は井上尚弥選手とノニト・ドネア選手のワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)バンダム級決勝戦が行われました。最強VS最強とのことで非常に注目された一戦であり、ご覧になった方も多かったと思います。今回は私なりの視点で感想を書いていきたいと思います。ちなみにこの感想の多くは私個人の予想と妄想なので全くあてにならないことを先に言っておきます笑

 はっきりいって互角

井上選手はこれまで1〜2ラウンド程度でKOをしてきており、今回も早い時間帯でのKOが期待されていました。しかし、ドネア選手は私たちが考えていた以上に強くその結果12R判定勝負という形になりました。井上選手は試合前、倒そうと思って倒せる相手ではないという発言はしていましたのでこの最終ラウンドまでもつれ込むということを予想していたかもしれませんが、私のような素人が予想すると、「とは言いながらもKOしちゃうんでしょ」と感じていたことは間違いありません。しかしその考えが大きな間違えでした。両者とも本当に互角で、見方によっては井上選手ともドネア選手とも言える戦いだったわけです。終盤井上選手がボディブローを炸裂させ結果、井上選手の判定勝ちということになりました。

 

どちら側の視点で見ているか

日本人の方は井上選手のKO勝ちを期待し、井上選手側に立って応援していたかと思います。私ももちろん井上選手を応援していました。そして判定勝ちではなくKOで勝ってほしいという気持ちがありました。しかし終盤に向かうにつれてどちらも応援している自分がいました。中立の視点で考えているとこの戦いにどちらも強い気持ちがあったということを感じます。

 

世代交代

井上選手は「世代交代」という言葉を使っていました。人間は当然老いていくものであり、常に最高のパフォーマンスを発揮することは難しくなってきます。それはどんな世界でも同じであり、若い世代が塗り替えていくのです。しかし、決して若い世代が優秀だったということではありません。年齢を重ねたことによりピークを過ぎてしまっているだけに過ぎないのです。

ドネア選手は井上選手の世代交代と発したことはは確実に耳にしていると思いますし、当然井上選手の強さも知っているかと思います。年齢的にも限界が近いことも自分自身が一番知っていることでしょう。ではドネア選手は何を思って試合に臨んだのでしょうか。

 

憧れの存在

井上選手にとってドネア選手は憧れの選手だといっていました。ドネア選手の映像はたくさん見たでしょうしたくさんのことを真似したのだと思います。そんな憧れの選手と対戦することが来るとは運命的な部分を感じていたのではないかと思います。一方ドネア選手も井上選手が憧れていてくれていたことは伝わっているかと思います。「憧れ」と「世代交代」というキーワードを受けてドネア選手は威厳を保たなければならないなんて感じていたのではないかと思ってしまいます。

 

最後まで立つ

終盤戦に井上選手のボディブローが炸裂しダウンを奪います。相当なダメージを受けたと思いますが、ギリギリのところで立ち上がり試合を再開させました。この時どんな気持ちだったのか考えてしまいます。井上選手側の視点であればそのまま立たないでくれと願ったかもしれませんが、私は立って欲しいと途中で思っていました。ここまできたのだから、最後まで立って井上選手の相手をして欲しいという気持ちですね。きっとあそこで諦める選択肢もあったと思います。これまでの対戦相手で諦めている方は大勢います。しかし諦めずに最後まで戦い抜きました。これはダメージだとかそういう問題ではなく、立っていなくてはいけないという根性だったのではないかなと思ってしまいます。

 

最後の笑顔

12Rが終わりお互いに抱き合った時ドネア選手は笑顔でした。もちろんボクシングの試合の最後は笑顔で締めくくるということはよくあることなのですが、今回の笑顔には「俺は強かっただろ?」といった言葉が聞こえてきそうな雰囲気さえ感じました。あの時点でドネア選手は勝敗や、世代交代ということなどいろいろなことを察したのかもしれません。そしてその後井上選手が相手のコーナーに行き、ドネア選手と同じ高さでもう一度抱き合います。この時の井上選手からは「感謝」という強い気持ちが感じられました。KOで終わらなかった少し不完全燃焼だった試合でしたが、この2つの抱き合いを見たことでこの試合は判定でよかったんだと私としては思います。ドネア選手は苦しい中でも最後まで井上選手の憧れを壊さなかったのかななんて感じました。

もしこれが序盤KO勝利だったとしたら井上選手としてはどんなこと感じたのでしょうか。もちろん憧れも、尊敬も変わらないとは思いますが、それでも「憧れていたドネア選手もこの程度か」ということが少しでも思ったのではないかと思います。しかし今回の結末から、井上選手がそんなことを微塵も思うことはなかったのは間違い無いと思います。

 

最高の試合

人間誰だって、「憧れています」と言われれば、その人に対してみっともない姿は見せられないという気持ちがあると思います。それは仕事でもスポーツでも同じです。最後まで立っていたドネア選手は本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思いますし、井上選手としても気持ちよく最高に楽しんだ試合だったのではないかと勝手に感じています。序盤から中盤にかけて井上選手が流血するシーンがありました。私が一番恐れていたのはドクターストップです。これはお互いにとって残念な結果になりかねなかったので最後まで戦うことができて本当によかったと思っています。ボクシングにおいて傷を攻撃しないなんてことはなく、弱点をつくという戦いは普通に行われます。ドネア選手がどういった気持ちで戦っていたのかはわかりません。狙いたく無いと思ったか、ラッキーと思ったか、そういった微妙な感情も試合に少しは影響したのかもしれませんね。

 

最後に

私の個人的な予想と妄想がたくさんの感想でしたが、本人にどうだったということを聞けるわけではありませんし、中継を見ていて私が受け取った感情を書いてみました。本人たちにとっては間違いなくリアルだと思いますが、私にとっては半分ドラマなんです。二人が全く違う感情を持っており、私が書いていることと真反対だったとしては私はこんな風に受け取りました。先輩と後輩、憧れ、世代交代私にはこんなシチュエーションが来るかどうかわかりませんが、もしそんなことがあれば今回のボクシングで学んだ、ドネア選手のようにたち振る舞えたらと思うばかりです。