コンデジでオーロラを撮影する設定は?

先日、カナダのイエローナイフという町に行き、オーロラを見てきました。肉眼でオーロラを楽しむのはもちろんですが、せっかくですので写真でも残しておきたいですよね。プロに頼むという方法もありますが、やはり自分でも取りたいと思いますので今回は設定方法についてになります。

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 使ったコンデジ

私が使用したコンデジは、RX100M5というソニーから発売されているコンデジになります。近年ではコンデジもかなりレベルアップしており、それに伴って値段もかなり高くなってきています。RX100M5の値段は8万~10万位といったところで、人によっては高いと感じるかもしれません。今回は、オーロラを撮影するために最適なコンデジは何かという話ではありませんので、話を先に進めましょう。

 

設定方法

カメラの設定方法はそれほど難しくありません。全てマニュアル設定にすることで撮影が出来ますが、これだけでは説明が不十分ですので、詳しく話して行きます。

この5点です。ツアーに参加した際、オーロラを撮影するための設定方法という紙が配られて、読んでみましたが、

  • 設定を全てマニュアルにする
  • ISOを800から1600くらいで撮影する
  • 三脚を使用して撮影する
  • フラッシュを発行禁止に

としか書いておらず、オートフォーカスには触れていませんでした(触れている説明書も存在するかもしれませんが) その結果、現場では多くの方がピンボケした写真を撮影しており、首を傾げていました。どうしてピンボケしてしまうのかというと、オートフォーカスをマニュアルフォーカスに変更していないからなのです。通常、明るい場合は、空の風景などを撮ると、ピントは∞側に合い、普通に写真を撮ることが可能です。しかし暗闇の中では被写体がカメラに移らないのでオートフォーカスが上手く機能せず、近い場所にピントが合った状態で撮影されてしまうことがあります。これがピンボケになります。ですので様々な設定をマニュアルに変更する際、オートフォーカスもマニュアルに変更するようにしましょう。それではさらに詳しく書いていきます。

 

設定をすべてマニュアルにする

多くのデジカメでは、上部に丸いダイアルが付いており、P、S、Aなどの文字が書かれています。カメラの性能にお任せするよって場合は、autoというのがあると思うので通常はそれを使用することでしょう。そしてこの中にMという場所があると思います。これがマニュアル設定です。これに設定すると、シャッタースピードも絞りも全てマニュアルで撮影することが可能です。オーロラを撮影する前にダイアルをMに合わせましょう。絞り(F)は最小の数字にしてください。この数字が小さいほど明るく撮影することが可能です。シャッタースピードは10秒~15秒にしましょう。まずは10秒で試してみてください。この際は確実に三脚が必要になるので持参するか、レンタルしましょう。

それからシャッタースピードを10秒にするということは10.0に設定するということになります。私は現地で何人かの方に写真の撮り方を教えましたが、上手く撮れないといっていた人の中でシャッタースピードを1/10にしている人がいました。確かに10という数字が付いているので10秒に思うかもしれませんが、これは1秒を10分割したそのうちの1です。要するに0.1秒ということになります。これではシャッタースピードが速すぎて真っ暗な写真が出来上がってしまいます。

 

ISOをマニュアルにする

ISOとは簡単に言うと、強引に明るくする機能です。暗い中での撮影は当然写真自体が暗くなりますが、ISO感度を上げると、どんどん明るくなっていきます。しかし、ノーリスクで上げられるわけではなく、上げれば上げるほど画像が荒くなってしまいます。ですので上げすぎには注意が必要です。設定方法ですが、先ほどのMダイアルと違い、多くのコンデジではメニュー画面での設定が必要です。メニュー画面を開き、撮影設定(機種によって違う名称だと思います)の中にあるISO設定を開きましょう。通常は1600autoや3200autoなどautoになっているかと思います。これを変更します。そしてISOは800~1600程度が丁度いいかなと思います。カメラの性能によっては3200くらいまで上げなければいけないかもしれませんが、それは何枚か撮りながら設定を変更してみてください。ISOをautoから数値固定に変更するとどんな状況でもそのISO設定で写真が撮られます。変更したい場合は再度メニューを開いて設定しなおさなければいけません。

 

オートフォーカスを切る

一眼レフの場合、レンズ側にAF、MFなどといったセレクタースイッチが付いており、これを切り替えれば簡単にマニュアルフォーカスに変更することが可能です。しかし、コンデジの場合はそういったスイッチはボディについていないことが多いと思います。ではどうやって解除するのかというとISO設定のときと同じく、メニュー画面から設定を解除します。オートフォーカスを解除したら、ピントを自由に動かすことが出来ますので、∞にしてください。これで準備完了です。

ちなみに多くの方がこのオートフォーカスを切っていないため、綺麗に写真が取れていないという状態でした。私が教えた半分くらいはオートフォーカスになっており上手く撮影できないという状況だったのでこの設定は必ず変更してください。

 

フラッシュは発行禁止に

フラッシュが届く距離というものはせいぜい数メートルです。オーロラははるか上空にありますのでフラッシュなど何の意味もありません。ですので発行禁止にしましょう。設定方法は大抵ディスプレイの横に十字セレクターがあり、そのどこかのボタンにフラッシュ設定が割り当てられています。稲妻マークですのでそのボタンを押し設定を変更してください。 フラッシュを使わないということは回りの人に対して迷惑にならないようにするという意味もあります。シャッタースピードが10秒などなので、強い光は他人の写真に写ってしまいます。そういったこともあるためフラッシュは厳禁です。

 

タイマーシャッターを使用

タイマーシャッターとはカメラを別のところにおいて自分たちを撮影するときにしようることがある機能ですね。タイマーは2秒だったり10秒だったりカメラによって様々ですが使用することをおススメします。三脚を使っているとはいえ、シャッターに触れたときにぶれてしまう可能性があります。タイマーなら触れずにシャッターが切れるので必須ともいえます。

 

カメラ設定のここまでのまとめ

  • 絞り(F)は最小の数値
  • ISO設定は800~1600
  • オートフォーカスを切りマニュアルフォーカスに設定
  • フラッシュは切る
  • タイマーシャッターを使う

 

カメラ以外の準備

カメラの設定は完了しましたが、まだこれでは撮れません。また、撮影には直接関係内のですが、必要な道具もありますので書いていきます。

  • 三脚(必須!!)
  • 手袋(真冬の場合
  • 厚手のタオル(真冬の場合)
  • モバイルバッテリー(真冬の場合)

これらが必要です。(自分の防寒装備は当然整えているとします) まず三脚です。10秒間手でカメラを持って静止できるようであれば必要ありませんが、そんな人間存在しません。シャッタースピードが10秒ということがどういうことかというと、通常早いシャッタースピードの場合、「カシャッ」で終わりですが、「カ…(10秒)…シャ」となるわけです。この間、少しでもカメラが動くとぶれてしまいます。ですので三脚が必須になるわけです。出来るだけ大きいほうが安定しますが、小さい三脚でも撮れないわけではないですし、オーロラビレッジで撮影する方はレンタルすることも可能です。確か10カナダドルくらいでした。必ず準備しましょう。

真冬の場合手袋も必須です。真冬のツアーの場合防寒着はレンタルでき、その中に手袋も含まれています。しかしその手袋はミトンです。当然ボタン関連を触れるような手袋ではないので必ずぎりぎりボタン操作が出来そうな手袋をつけ、そのうえからミトンなどを使いましょう。少し窮屈ですが、素手でカメラを触ることはできません。私が行った時は数人の方が、写真を取りたいんだけど手袋がなくて撮れないという人がいました。その人は翌日、イエローナイフのスーパーマーケットで購入していましたので準備していない方は日中ゲットしに行きましょう。

次に厚手のタオルですが、真冬のイエローナイフは寒いです。ずっと外にはいられないので、ティピーと呼ばれるテントの中に入ったり出たりします。マイナス40度になっているカメラを20度くらいの室内に持ち込むと一気に結露します。その結露がカメラを壊してしまう可能性がありますので、中にカメラを持ち込む際は厚手のタオルのようなものでぐるぐる巻きにして持ち込み、中で撮影したものを確認しないようにしましょう。確認すのであれば外で行うことをおススメします。タオルのほかにジップロックに入れるといった方法もあるのでそれでも問題ないです。

最後にモバイルバッテリーですが、これも真冬には必須です。バッテリーの特性上、寒い場所ではすぐに電池が切れてしまいます。ちなみに私が持っていったRX100M5ですが満タンの状態から30分程度でバッテリーが切れてしまいました。ツアーにもよりますが、数時間はその場所にいることになりますのでせっかく良いオーロラが出現しても撮影できないのは勿体無いです。ただその場で充電してバッテリーを外して使おうと思ってもそんなに早く充電することはできません。ですので給電しながらカメラが使える機種がおススメです。RX100M5は可能です。

 

いよいよ撮影

さぁここまで準備したら後はバンバン撮影するだけです。様々な設定で撮影してみることをおススメします。ではどの設定を変えるとどうなるかということを書いていきます。

  • 絞り(F値) 小さい数字→明るくなる 大きい数字→暗くなる
  • シャッタースピード 遅い→明るくなる 早い→暗くなる
  • ISO感度 小さい数字→暗くなる 大きい数字→明るくなる

 変更する場合はこの3つです。絞りは小さい数字のほうが有利なので変更は必要ないと思いますが、シャッタースピードは10秒から15秒くらいで試し、ISOは800~3200くらいで試してみてください。ちなみに真冬の設定変更は暖かいところで行わず、外で行うことをおススメします。ティピーの中で行うと結露してしまいます。その際凍傷にならないよう必ず手袋を使用しましょう。

 

 

 

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まずこの写真ですが、少しぶれています。シャッターはタイマーで取っているので三脚が少し動いてしまったということが考えられます。この写真はF値1.8 S=15 ISO1600 で撮影しています。

次に

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こちらはブレはないのですが、大き目の星だけが少し楕円に見えます。この写真はF値1.8 S=15 ISO1600 と一つ前の写真同様にシャッタースピードを15秒にしています。15秒以上遅いシャッタースピードにすると、星がこのように動いてしまう上に光が強くなりすぎて少しぼやけてしまいます。ですので10秒くらいで撮影したいところですが、カメラによってはF1.8も下げられないことが多いです。F3.5とかだと15秒くらい必要になるかもしれません。オーロラの迫力はなかなかなのですが細かい部分が気になります。

お次

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こちらは値1.8 S=10 ISO1600で撮影しています。オーロラの光の強さは先ほどよりも小さくなり星の粒がしっかりとしています。出ているオーロラにもよりますが、肉眼でもはっきり見えるほどのオーロラは10秒程度、薄い場合は15秒くらいのシャッタースピードがそれなりに写るかなという感じです。この辺は好みにもよるので同じアングルでも何枚も撮影してみることをおススメします。ちなみにこれらは全てRX100M5で撮影したものです。

 

カメラを買う際

カメラの知識を十分持っている人であれば、物を見れば大体わかるかと思います。しかし、あまり知識がない場合はどれを購入したらよいかわからないかと思います。私のようにRX100M5を購入すれば間違いないのですが結構高いカメラなので、電気屋さんで、

  • シャッタースピード、絞り設定をマニュアルに出来るか
  • ISO感度をマニュアルにできるか
  • マニュアルフォーカスに出来るか
  • 出来るだけF値の小さいレンズを使用しているもの
  • バッテリーなどで給電しながら撮影を続けられるか

といった条件を伝えて選んでもらうのがよいかと思います。様々な価格帯のカメラを持ってきてもらえると思いますので、値段と特徴などを考慮し、自分が許せるバランスの良いカメラをゲットしてみてください。私も、実は一眼レフをもって行きたかったのですが大荷物になってしまうため、コンデジを採用しました。RX100M5の性能としては大満足で優れたカメラだと思っています。

これらの技術は通常の夜景を撮影する際にも使用できます。夜景の場合はそこそこ明るかったりするのでautoでも撮影が可能なことが多いですが、オーロラを撮るといった際には是非試してみてください。